栞(しおり)クレーター Shioli

2024年1月20日、JAXAの小型月着陸実証機 SLIM が栞(Shioli)クレーター付近に着陸しました。栞は「神酒の海」の西にあるキリルス内部にあり、直径が0.27kmの小さなクレーターです。

下の画像の矢印あたりに栞クレーターがあります。

2024/1/19 FC-76DS

下は2023/8に撮影した画像です。

2023/8/5 μ-250 笠井1.5倍バロー

上の画像の部分拡大

過去の経験から、私のμ-250では大体0.8km~0.9km位のクレーターが撮影できる限界だと考えています。ですから直径が0.27kmのShioliはとても写すことはできません。

しかしShioliは比較的新しいクレーターで、太陽高度が高いときには実際の直径よりも広い範囲が明るく輝きます。ですからクレーターそのものを写すのは不可能ですが、光点として捉えることができそうです。

過去画像を調べると太陽高度が高いときには小さな光点が写り、太陽高度が低くなると何も写らなくなります。また他にこの場所にそれらしいクレーターはないので、おそらく間違いないだろうと思います。


もともとShioliには名前がありませんでしたが、今回のプロジェクトに当たり名付けられました。
名前の由来は「SLIMで実証を目指す高精度着陸技術は、月探査の新時代を切り開くことが期待されています。SLIMが、歴史のターニングポイントに挟まれる「栞(しおり)」となるよう願いを込めました。(JAXA)」とのことです。

この名称は 国際天文学連合(IAU)に認定された正式のものです。

下はNASAのLROによるShioliです。
画像の右下にスケールバーが入っており、実際に直径が270m程度しかないことが判ります。

(C) NASA LROC Images

(C) NASA LROC Images

下はLROによるキリルスとテオフィルス。キリルスの内部に栞があります。

(C) NASA LROC Images


2024/1/25のJAXAの会見で、着陸予定地点の詳細な位置が公表されました。それによると経度 25.24889、緯度 -13.31549だそうです。LROC のQuickMapに入力してみると、下の画像のピンク色の場所がプロットされました。また実際に着陸したのは着陸予定地点から東へ55mの場所ということで、そのあたりに「+」を書き込んでみました。画像の左の白く輝く大きなクレーターが栞です。

(C)NASA LROC QuickMap

大きなトラブルに見舞われながらも素晴らしい成果が得られたと思います。おめでとうございます。今後太陽の向きが変わって、SLIMの活動が再開できますように!