赤い月

低空に輝く月は暗くて赤っぽく見えることがあります。なぜこのように見えるのでしょうか?

地球の周りには大気の層があり、月の光は必ずこの大気の層を通して私たちの目に届きます。2つの青色の矢印の長さに注意してください。月の高度が低いほど、たくさんの大気の層を通して月を見ることになります。

大気は透明に見えますが、長い距離を考えると塵や埃、水蒸気などの影響により月の光は減光されます。また光のなかで波長が長い赤い光が邪魔されにくく、遠方までよく届きます。このため月は高度が低いほど暗く、赤っぽい色合いになります。(朝日や夕日が赤いのと同じ理由です。)

低空の満月

上空の満月

同じ日の月を高い空で写した画像です。上の画像との色の違いがよくわかります。また低空では大気の影響で月が上下方向につぶれ、横長に見えることにも注意してください。

また風が強い冬の日や台風が通りすぎた後は大気中の塵や埃が吹き飛ばされ、大気の透明度は良くなります。こういう日には遠くの山々が驚くほどはっきりと綺麗に見えることがあり、月は青白いほどに眩しく輝きます。

特殊な場合として皆既月食の時には赤銅色の月を見ることができます。月食の詳細についてはこちらをご覧下さい。


皆既中の月 (2007年8月28日)

森林火災の影響

下の画像は2003年5月22日の明け方の下弦の月です。この時期はシベリアの大規模な森林火災の影響で大気の透明度が低下し、北日本では昼間の太陽が朝日や夕日のように暗くて赤く見えたそうです。高く昇った月を撮影しましたが、不気味なほどに暗くて赤く見えていました。

PM2.5などの影響

下の画像は2014年3月16日の月です。春のどんよりとした空に加え大陸からのPM2.5の影響もあり、大気の透明度が低下しました。撮影時刻は午後19時59分で月の高度は13.6度、撮影地は大阪です。下の天気図はtenki.jpのPM2.5予測です。

tenki.jp より

噴煙の影響

下の画像は2020年8月7日の月です。高度が上がっても赤くて暗い不気味な月でした。この時期は小笠原諸島、西之島の噴煙により各地で煙霧が観測されるような霞んだ空でした。