ライナーガンマ Reiner Gamma
嵐の大洋西部にある白く輝く不規則な地形がライナーγ(ガンマ)です。とてもユニークな姿をしていて、月面最大の奇観のひとつでしょう。
光条のように見えますが中心となるクレーターが見当たりません。また光条と同様に欠けぎわに近いとあまり目立たず、太陽高度が高くなる(欠けぎわから離れる)と明るく輝くようになります。
このライナーγのような白っぽくうねる渦巻きのような模様がスウォール(swirl : 渦巻き)です。大規模なスウォールはこの「ライナーγ」のほかに「縁の海」と、月の裏側の「賢者の海」にあり、いずれも強い磁気異常を伴います。何とも不思議な形をしていますが、どのようにしてできたかはまだよく分かっていないようです。
ライナーγは彗星の衝突によってできたと考えられていたようで、私も過去に何度もそのような記述を読んだ記憶があります。しかし「月の地形ウオッチングガイド」によると、「近年、彗星が月面に衝突することはまれな現象ではないことがわかってきたので、彗星衝突ではライナーγのようなスウォールが月面の数ヵ所にしかないことを説明できない」とのことです。
中央の目玉のような部分が目立ちますが、南北にかなり長い範囲にスウォールが見えています。
欠けぎわ近くになるとライナーガンマはあまり目立たなくなります。
矢印はガリレイ谷。
「かぐや」HDTVによるライナーガンマ
「かぐや」HDTVによる賢者の海