2023/12/21 μ-180C IR800 , Fra Mauro Pearl Necklace

ヘシオドス・レイと同じ日に「フラマウロの真珠のネックレス」を見ることができました。
これは2007/12/18付のLPODに「The Pearl Necklace」として紹介されている現象です。Phil Morgan氏の芸術作品のようなスケッチを見て、是非この現象を見てみたいと思いました。

そのスケッチは少し誇張しているのでは?とも思っていたのですが、実際に見てみると雰囲気をうまく捉えていて、とても素晴らしい作品だと感じました。

2023/12/21 19h32m

上の画像は19:32の撮影で、フラマウロにおける太陽高度は0.87°です。
Phil Morgan氏のスケッチは2007/3/27 19:10~20:00UT で、太陽高度は0.66°~1.08°です。ですから上の画像はMorgan氏のスケッチの時刻のちょうど真ん中のタイミングになります。

2カ所、手書きの線で囲んでいますが、上のほうがフラマウロの周壁、下はボンプランの周壁です。実際に見ているとボンプランのほうが明るくて早く見え始めるので、てっきりこちらがフラマウロだと勘違いしてしまいました。なかなか繋がらないなぁ、と思って見ていると、いつのまにか北側に大きなネックレスが見え始めて、「こちらがフラマウロだ!」と気付きました。

あとでmoon wikiを見ると、両方を合わせて「フラマウロとボンプランの真珠のネックレス効果」と紹介されています。LPODのMorgan氏のスケッチではフラマウロのみが描かれていたので、もうひとつネックレスが見えるとは知らずに油断してしまいました。スケッチだと写真と違って時間の制約があるので、フラマウロのみを取り上げたのでしょうね。


下の画像は19:12のもので、上の画像の20分前です。フラマウロ側のネックレスの中央あたりはまだ見え始めたばかりのようで、この時の太陽高度は0.71°です。

2023/12/21 19h12m


この付近はフラマウロ丘陵にあたり、インブリウムベイスン(雨の海の凹み)生成時の放出物が厚く堆積しているといわれます。アポロ14号もこの付近に着陸しました。

2023/6/27

下はアポロ16号によるフラマウロ丘陵の画像で、上の画像とほぼ同じエリアが写っています。

(C) NASA Apollo16 Images AS16-M-1419


フラマウロの西側の周壁はなだらかで、小さなクレーターが多く見られます。それでこの現象のような見え方をするのでしょうね。

次回は2024/2/18~19に見えそうです。今回掲載した画像と同じ太陽高度になるのは2/18の24時18分~24時38分頃(2/19の00時18分~00時38分頃)です。

下の画像は今回のヘシオドス・レイとフラマウロのネックレスを一枚に収めたものです。

2023/12/21 19h24m


フラマウロのネックレスの少し前、パリーの内部がRay現象になっていました(下の画像)。とても複雑な影です。

2023/12/21 17h19m


あとからロビンソン氏のサイトを見ると「パリー内で3つのRay現象が同時に起こる」というレポートが記載されていました。それでこんな影が見えていたんですね。