白っぽくうねる渦巻きのような模様がスウォール(swirl : 渦巻き)です。大規模なスウォールは「ライナーγ」と「縁の海」、そして月の裏側の「賢者の海」にあります。

「Features of the Near Side Moon」やmoon-wikiにはスウォールのリストがあり、ライナーγや縁の海以外にも色々掲載されています。ここではその中で見やすそうな2カ所を取り上げたいと思います。

・シルサリス地域のスウォール
ハンスティーンやシルサリスEの北側にあり、アルファベットの「B」を逆さまにしたような形をしていて内部は暗くなっています。画像は2月4日と3月6日の撮影です。(白丸)

2023/2/4 μ-180

2023/3/6 μ-180

2015/2/13 μ-250 下弦側

下はLROCによる画像です。Bだけでなく、左下のあたりにも何かありそうな気がします。

(C) NASA LROC Images

・ロールマン地域のタコ・スウォール
ロールマンAとヘルマンのあいだにあります。とてもユニークな形をしており、「Features of ~」には「触手を持ったタコのようなスウォール」と書かれています。(赤丸)

2014/1/28 μ-250

ただし大変小さいので三角形のように写すのがやっと、というところでしょうか。気流の良い時に大きく写してみたいものです。

LROCの画像だと、まさにタコ!という感じに見えます。隣のクレーターはロールマンAで直径は12kmなので、タコ・スウォールも大体それくらいの大きさでしょう。

(C) NASA LROC Images

下の画像は以前に撮影したライナーγ付近で、一番下ギリギリにタコも写っています。ライナーγは本体から南に向けて、とぎれとぎれに小さなスウォールが連なります。位置関係から考えて、タコもライナーγから続くスウォール列の一部かもしれませんね。

2017/7/16 μ-250

最後に月の裏側の「賢者の海」のスウォールをご紹介します。とても素晴らしく、この光景が地上からは見ることができないのが本当に残念です。(LROCの画像)

(C) NASA LROC Images