「21th Century Atlas of the Moon」は色々な面白い地形を紹介してくれるのですが、そのひとつがヘルメットです。湿りの海と既知の海のあいだにあり、ヘルメットのような形をしたユニークな地形です。(The Helmet)
ガッサンディの東隣りでいつも目にしている地域ですが、この本を読むまで全く気が付きませんでした。またこんな名前で呼ばれているとも知りませんでした。
ただしIAU(国際天文学連合)が認めた公式の地名ではありません。
5月2日の画像、丸印がヘルメットです。逆さを向いていますね。
「Apollo 16 Preliminary Science Report」によると、アポロ16号の乗組員がこの地形を「the helmet」と呼んだそうです。下はアポロ16号によるヘルメットの画像です。
下の画像は気流が非常に良かった時のヘルメット付近です。
左上には髪の毛のように細く、雷のように曲がりくねったヘリゴニウス谷が見えます。幅は~0.5kmです。
moon_wikiの「The Helmet」のページを読んでいると、やたら「アヒル(duck)」という言葉が出てきます。何のことかと思ったのですが、どうやら「欠けぎわに近いヘルメットは北に向いて泳ぐアヒルに似ている、しかも数羽のアヒルの子も連れている」ということだそうです。
4月1日に、この付近を欠けぎわで撮影していたので見てみました。
丸印が北(上)に向いて泳ぐ親アヒル、矢印が子供のアヒルということでしょうか。確かにそのように見えて面白いですね。これは上弦側(満月前)の画像です。
過去の画像を見てみると、下弦側(満月後)にもアヒルの親子を見ることができます。
以前はアヒルの頭の部分がヘリゴリス・イータ、アヒルのすぐ左隣りの子アヒルがヘリゴリス・パイと呼ばれていたそうです。
ヘルメットは地質学的にも面白い対象のようで、「Features of the Near Side Moon」には「月で最もシリカが豊富な火山堆積物地形のひとつ。」と書かれています。
またLPODにも色々な記事が掲載されています。
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