虹の入江 Sinus Iridum

虹の入江は月面の北西部にある半円形の美しい地形で、直径260kmのクレーターに溶岩が流れ込んでできたと考えられています。半円形の部分はジュラ山脈と呼ばれ、東端と西端はそれぞれラプラス岬とヘラクレイデス岬です。
虹の入江は月の周縁部に位置しますので、秤動の関係で見かけの形はかなり変化します。きれいな半円形に近く見えることもあれば、かなりつぶれた楕円形のように感じることもあります。
虹の入江はLunar100の14番です。

2016.8.25


虹の入江の内部は溶岩で満たされているために平坦に感じられますが、気流が良いときにはたくさんの小クレーターを見ることができます。どれくらいまで撮影することができるか、「かぐや」の映像と比べてみるのも興味深いように思います。 Link


虹の入江が夜明けを迎えるころ、入江周辺の高い山脈の部分にのみ光が当たり明るく輝きます。まだ入江の周辺は真っ暗で、まさに夜空にかかる虹のように大きなアーチを描きます。
これは「ゴールデンハンドル」、「Golden Handle」などとも呼ばれ、望遠鏡はもちろん、双眼鏡でも見事な光景を楽しむことができます。
特に目の良い人なら、肉眼でも小さな膨らみとして見えるかもしれません。この場合、まだ夜空が暗くなる前で、月が高い場所に見える時が適します。Link

2015. 3.30

2023/10/24 μ-180C

同じ構図の画像を2011.5.7のLPODに掲載していただきました。


虹の入江が夕暮れを迎える頃、ジュラ山脈の影がギザギザに見えます。moon_wikiによると、この様子のことが「buzz saw(丸のこの刃)」と紹介されています。次の画像ような感じでしょうか。なかなか面白い発想ですね。

2010.8.4

さらに月齢が進むとラプラス岬あたりはすっかり暗闇に姿を消し、入江の内部のまだ明るい地域にはジュラ山脈が長い影を落とします。

2023/8/12 μ-250

2023/8/12 μ-250


虹の入江は月の縁近くにあるため、秤動によって見かけの形が大きく変化します。 左:2012.11.7 右:2017.5.6


「かぐや」HDTVによる雨の海と虹の入り江

「かぐや」HDTVによるグリュイトイゼン山