月面都市 Wallwerk, Lunar City

1822年7月12日、グルイテュイゼン男爵は6cm屈折で一連の尾根を見つけました。それはシュレーターの北にあり、魚の骨のような形をしています。当時の多くの科学者と同様に月には人が住んでいると思い、これを巨大な月面都市と考えました。
グルイテュイゼンは「目の前の都市を鳥の目で見ているような気がした。」と書き残しています。建物、通り、城壁、寺院を備えたこの都市を「Wallwerk」と名付け、その外観を「ハンノキやバラの葉の葉脈」に例えました。
下のスケッチはグルイテュイゼンにより描かれました。想像力豊かなグルイテュイゼンにはどの地域がどんな風に見えたのか、なかなか興味深いです。

ハンノキの葉脈 (Agnieszka Kwiecień CC-BY4.0)

下の画像もグルイテュイゼンによるスケッチだそうです。多分南が上と思いますが、こちらはかなりリアルに描かれているような気がします。

もちろんこの月面都市は後の観測で否定されることになります。しかし確かに面白い地形ですし、こういう歴史を知らないと恐らく見逃してしまうでしょう。
位置はエラトステネスの南、パラスの西あたりで欠けぎわに近いほうが見やすくなります。グルイテュイゼンが見たのは下弦側ですが、今回撮影したのは上弦側でどちらでも見ることができます。

2023/3/30 μ-250

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フランツ・フォン・グルイテュイゼン男爵はドイツの医師で、虹の入江の南西にあるグルイテュイゼン・クレーターや有名なドーム地形のグルイテュイゼン・ガンマなどに名前を残しています。

参考
Wikimedia
Pleasures of Lunar Pareidolia
Observe shadow play on the Moon
A PORTFOLIO OF LUNAR DRAWING



また2004年9月17日付のLPODには「別の月面都市?」というタイトルの記事が掲載されています。
この地形はフラマウロとリフェウス山脈の中間付近にあり、特に名前はないようです。欠けぎわ近くになると平行な直線のような物が何本も見えて、どこか人工的な地形のような雰囲気がありますね。

2023/9/9 μ-250

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