5月27日はアルバテグニウスとヒッパルコスの南北に並んだ大型クレーターが欠けぎわで見頃でした。

3月5日付でも書いた通り、「アリスタルコスの北方やプトレマイオスBと同じようなくぼみが、アルバテグニウスやラカーユ、レギオモンタヌスの内部にも認められる」とのことで楽しみにしていました。

当日は雲が多くて気流も良くなかったのですが、何とか撮影することができました。

2023/5/27 μ-250

アルバテグニウスの部分を切り取って拡大してみました。
平坦な火口底に、明らかにクレーターとは違う浅いくぼみが多く見られます。


このくぼみは月面ウォッチングには2カ所だけ描かれています(矢印)。またLunar Chart (LAC) SeriesのLAC-77には多数のくぼみが描かれています。これらには名称は付いていないようです。
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下は以前撮影した上弦側のアルバテグニウスです。
今回より太陽高度は高いのですが、まだくぼみは見えています。

2015/3/28 μ-250

こちらは下弦側のアルバテグニウスです。
上弦側と同様にくぼみが見えています。

2017/8/14 μ-250

小さなクレーターや細い谷を写し取るためには気流が良いことが必須条件です。しかしこのようなくぼみは面積があるので、多少気流が悪くても何とかなりそうな気がします。

こういった地形は「大きなクレーターの底に形成された衝突クレーターが、後に滑らかな物質で覆われた」ということだそうです。

このあたりは隣のアルザッケル、アルフォンスス、プトレマイオスの火口列が有名です。以前からよく撮影する地域でアルバテグニウスも構図に入るのですが、あまり注目していませんでいた。

昔からある月面のガイド本にはこういった見どころがきちんと紹介されているので、これからも隅々まで読み直して面白そうな対象を捉えてみたいと思います。