月面南部には中小のクレーターが密集していますが、月の縁のほうに少し変わったクレーターがあります。
このクレーターはブサンゴー(Boussingault)と呼ばれますが、フランス人の化学者の名前が付けられているそうです。
ブサンゴーはかなり深くて、ずっと下のほうまで段丘が続いているように見えます。
一度気付いてしまうと、この辺りを見るたびについつい探してしまいます。
ブサンゴーの直径は131kmですが、内部に直径75kmもあるブサンゴーAという大きなクレーターがあり、どちらも周壁に段丘を持っています。
それで上記のような変わった姿に見えているのです。
ブサンゴーは月面の縁にあるため、秤動の良い日を選ばないと内部の様子をうかがうことは困難でしょう。
撮影した日はちょうどこの付近が見やすい秤動でした。
下はNASAの月探査機による画像です。内部にある大きなクレーター(ブサンゴーA)がよくわかりますが、中心は少しずれているので二重クレーターという感じには見えません。
IROC Images (C) NASA