クリーガーのウサギの耳

μ-180C , Rabbit ears shadows of Krieger

「21st Century Atlas of the Moon」に「ウサギの耳のような影を落とすクレーター」としてクリーガーが紹介されています。

2023/11/24 μ-180C


欠けぎわ近くの地形が 長い影を落とすのはよく見かけるのですが、クリーガーはひとつのクレーターから2本の長い影が出来るので珍しいと思います。下の画像では時間の経過とともに影が短くなっていく様子がわかります。


18時14分

18時49分

19時29分

20時15分

アニメーション

2本の影が出来る原因ですが、クリーガーの内部から西側の周壁を超えて細い谷が出ています。この谷が隙間になって光が漏れるので、影が2本に分かれます。下の画像はNASAのLROによるクリーガーで、曲がりくねった谷が尻尾のように伸びているのがわかります。LROC QuickMapを見ると、この谷は幅1km位のようです。

(C) NASA/GSFC/Arizona State University


今回は上弦側なのでクリーガーの外側へ影や光が伸びたのですが、下弦側だとクリーガー内部でRay現象のようになるのではないか?と思い過去画像を調べてみました。今年の8月13日の画像ではクリーガーの底面と反対側の周壁の一部が明るくなっていて、谷の隙間を通ってきた光が当たっているのでは?と思われます。

2023/8/13 μ-250


また2010年9月4日の画像でも同様に周壁に光点のようなものが見えます。

2010/9/4 μ-250

2012年9月11日の画像では太陽高度が大きく、扇型に広がった光が見えます。

2012/9/11 μ-250


Cloudy Nightsにクリーガーの影が判りやすいスケッチがありました。Link

欠けぎわから離れたクリーガー、アリスタルコス、プリンツです。

2016/11/12 μ-250