ヘシオドスA (HesiodusA)、二重クレーター

ヘシオドスAは二重の周壁を持つ珍しいクレーターです。直径が15kmしかありませんから最初は探すのに苦労するかもしれません。位置は雲の海の南端です。
月面の地形を観察する場合、欠けぎわに近い頃が影が出来て詳細がよく分かる場合が多いのですが、ヘシオドスAは欠けぎわ近くになると内部が影になり、普通のクレーターと変わらなくなってしまいます。欠けぎわから離れた頃にはクレーター内部にも十分に光が当たり、二重の構造が見やすくなります。
ヘシオドスAの東にあるピタトスは直径97kmのクレーターで、周壁に沿って多数の谷が走ります。
ヘシオドスAはLunar100 の81番、ピタトスは84番です。

以前、LPODに二重クレーター(複合クレーター)の写真集のような面白い画像が掲載されていましたのでご紹介します。もちろんここでご紹介しているヘシオドスAやマルト、クロウジャーH、ポンタヌスEも含まれていますので探してみてください。こんなに多くの複合クレーターがあるのか、と驚かされますが、ほとんどは小さなものだったり月の裏側にあるものです。
Link: LPOD_July_28_2013

二重クレーターに関する記事
Crazy About Concentric Craters (Sky & Telescope)

2016. 8.25

2016. 8.25
2015.5.27

ヘシオドスAは欠けぎわ近くになると、内部が影になってしまいます。内部の二重の構造を見るためには、欠けぎわから離れた太陽高度が高い時に見るのが適しています。

2008.4.15

ヘシオドスAの内部が半分影になっています。上弦側

2010.7.25

ヘシオドスAの内部が半分影になっています。下弦側

NASAの月探査機 LROによるヘシオドスA (C)NASA LRO Images

その他の二重(複合)クレーター

マルト (Marth)

ヘシオドスAに似ていると言われる二重クレーターのマルト(矢印)。ヘシオドスAよりもさらに小さく、直径は7kmしかありませんので気流が安定したときでないと二重の構造を確認することは困難です。位置は病の沼です。(YK200 + ToUcam)

2007.8.6
2010.9.2

NASAの月探査機 LROによるマルト (C)NASA LRO Images

クロウジャーH (Crozier H

ヘシオドスAやマルト以外に見やすい二重クレーターはないのか?と調べていたらクロウジャーHというクレーターがありました。21st Century Atlas of the Moon によるとヘシオドスAに次いで2番目に見やすい複合クレーターとのことです。場所は豊かの海の南西側で、右上の大きなクレーターはコロンブス(コロンボ Colombo)です。直径は11kmなのでヘシオドスA(15km)とマルト(7km)の中間くらいの大きさです。ただし月の縁のほうにあるので秤動の状況によってかなり見やすさが変化します。

2014.2.5
2015.8.2

NASAの月探査機 LROによるクロウジャーH (C)NASA LRO Images

ポンタヌスE (Pontanus E)

ポンタヌスEはヘシオドスAやマルト、クロウジャーHほどの明瞭な二重クレーターではありませんが、大変見やすい複合クレーターです。直径は13kmですからヘシオドスAより少し小さいくらいでしょうか?。位置は月面Xでお馴染みのヴェルナーとアルタイの断崖の中間あたりですが、最初はなかなか見つけにくいかもしれません。

NASAの月探査機 LROによるポンタヌスE (C)NASA LRO Images