赤ちゃんとガイコツ The Baby & the Skull

アリスタルコスの東側に、赤ちゃんやガイコツのように見えるユニークな地形があります。あまり大きくないので気付き難いかもしれません。

2006/7/8付のLPODにも「The Baby & the Skull」という記事が掲載されています。
直訳すると「赤ちゃんと頭蓋骨」ですが、ちょっと不気味な響きなので、とりあえずここでは「赤ちゃんとガイコツ」にしています。

下の画像は上弦側と下弦側の「赤ちゃんとガイコツ」です。

上弦側 2013/05/21 μ-250

下弦側 2023/8/11 μ-250

赤ちゃんは大きな頭と両腕、細い胴体をしていて這っているように見えます。現在ではこの地形にはドリール山という公式な名前が付いていますが、以前はドリール・ベータと呼ばれていました。ドリールというのは近くにある直径25kmのクレーターの名前です。
月面観測で有名なカイパーやウィテカーも「ザ・ベイビー」と呼んでいたそうです。

ガイコツのほうは公式な名前は付いていません。以前はドリール・アルファと呼ばれていたそうです。ガイコツといっても頭の丸い部分はなく、両目から口のあたりがそれらしく見えています。

上述のLPODでは上弦側の画像を掲載しています。赤ちゃんは上弦側でも下弦側でも同じように見えますが、ガイコツは上弦側だと両目が四角く光っているようです。
下弦側だと両目が暗く、リアルなガイコツに見えますね。

下の画像は虹の入江から「赤ちゃんとガイコツ」です。グルイテュイゼン・ガンマとデルタも写っています。

上弦側 2023/10/25 μ-250

下弦側 2010/8/4 μ-250

下の画像は下弦側の欠けぎわの「赤ちゃんとガイコツ」で、長い影が伸びています。この位相だと赤ちゃんは魚の骨のように見えますね。

2023/8/12 μ-250

下の画像は「赤ちゃんとガイコツ」がちょうど上弦側の欠けぎわだったので写してみました。ガイコツから3本の長い影が伸びています。

2024/4/19 22h13m μ-180C

このページの画像は「赤ちゃんとガイコツ」が見やすいように、南を上にしています。

この地形については東亜天文学会の例会でも「寝ている赤ちゃんを見守るガイコツ」として取り上げられています。


LROCによる画像。赤ちゃんの下半身は人魚かエビフライ、ガイコツは猿の顔みたいに見えます。

(C)NASA LROC Images