2025/8/14 μ-180C + ASI462MM + IR685 + 笠井1.5倍バロー 他
(画像はすべて南を上にしています。)

モレトスの南(画像では上)付近に大きな谷のような切れ込みが見えることがあります。

月の南極近くのこの谷(?)(以下、谷と呼びます)はずいぶん前から気になっていて、どの地形がこのような姿に見えているのか不思議でした。南側の秤動が良い時に必ず見えるわけではなく、ある時に突然見え始めるような気もします。

この谷は結構気に入っていて、「月世界への招待」のXのトップ画面はずっとこの画像にしています。
https://x.com/MoonWorld_jp

8/14にひさしぶりにこの谷が見えていたので、少し調べてみました。

2025/8/14
2025/8/14

下は2016/3/29の画像です。秤動が良かったため谷はかなり深く感じられます。

2016/3/29 μ-250

この地形は過去にも調べたことはあったのですが、以前は月の南極付近の画像や資料はあまり手に入らずよくわかりませんでした。今ではLROCの3Dが利用できるので助かります。

(C) NASA LROC 3D Images

長方形で囲んだあたりが谷のように見える場所で、向かって右側がマラペール山、左側がムートン山、挟まれた部分はマラペール付近です。ムートン山は高さが約6000m、マラペール山は約5000mもあるそうです。

ムートン山といえば2025年3月にインテュイティブ・マシーンズ社(米国)の月着陸機「Nova-C」(通称「アテナ」)が着陸しました。このアテナには日本の月面探査車「YAOKI」が搭載されていたことで知られるようになりました。


ムートン山の中心緯度は-84.60°です。ですから南極付近ではありますが、秤動が良いときにはまだその向こうにいろいろな地形が見えます。実際に過去画像を見ても この谷の上を塞ぐような地形が見えますし、谷に細い横線が見えることもあります。そうなると深い谷のようには見えません。

2025/1/11 μ-180C
2010/8/29 YK-200

マラペール山(谷の右側)の上あたりがちょうど南極点になります。
そのためVMAで見ていると、満月から下弦頃にかけてはマラペール山から左側の部分が日々欠けてゆきます。それで谷の上を塞いでいるように見えていた地形が影になって見えなくなります。

また谷に見えることがある横線ですが、これはシューメイカーの周壁でしょうか。この横線は、この付近の太陽高度が高いときに見え、低いときには見えなくなるようです。

ただマラペール山やムートン山の上には地形が多く見えたほうが谷は深く感じられそうなので、太陽高度が低いほど良い、というわけでもないのでしょう。秤動との兼ね合いもあるかもしれません。

ちなみに今回(2025/8/14)の秤動は-2°48′,-1°27′で特に南北の秤動が良いわけではありませんでした。またムートン山における太陽高度は-0.64°で、横線が見えている2010/8/29の+2.20°よりも低くなっています。


拡大して見ていると とても目立つ谷に感じるのですが、月全体から見るとほんの小さな切れ込みですね。

2025/8/14

南極付近は角度がないのはもちろん、起伏が激しく影も多いので、LTVTのシミュレーションでも非常にわかりにくいように思います。その時々でどのように見えるのか楽しみながら、今後も追いかけてみたいと思います。