2024/4/19 μ-180C The Baby & the Skull

アリスタルコスの近くに赤ちゃんやガイコツのように見えるユニークな地形があります。

2006/7/8付のLPODにも「The Baby & the Skull」という記事が掲載されています。
直訳すると「赤ちゃんと頭蓋骨」ですが、ちょっと不気味な響きなので、とりあえず「赤ちゃんとガイコツ」にしています。

2024/4/19は「赤ちゃんとガイコツ」がちょうど欠けぎわだったので見てみました。LTVTによると長い影を伸ばしそうです。

2024/4/19 22h13m μ-180C

前回、撮影日記で「ハービンガー山脈の夜明け」を取り上げましたが、このすぐそばにあります。ですからその時にも「赤ちゃんとガイコツ」が一緒に写り込んでいます。


下は上弦側と下弦側の「赤ちゃんとガイコツ」です。

上弦側 2013/05/21 μ-250

下弦側 2023/8/11 μ-250

赤ちゃんのほうは大きな頭と両腕、細い胴体をしていて這っているように見えます。現在ではこの地形にはドリール山という公式な名前が付いていますが、以前はドリール・ベータと呼ばれていました。ドリールというのは近くにある直径25kmのクレーターの名前です。
月面観測で有名なカイパーやウィテカーも「ザ・ベイビー」と呼んでいたそうです。

ガイコツのほうは公式な名前は付いていません。以前はドリール・アルファと呼ばれていたそうです。ガイコツといっても頭の丸い部分はなく、両目から口のあたりがそれらしく見えています。

LPODでは上弦側の画像を掲載しています。赤ちゃんは上弦側でも下弦側でも同じように見えますが、ガイコツのほうは上弦側だと両目が四角く光っているようです。下弦側だと両目が暗く、リアルなガイコツに見えますね。

上弦側 2023/10/25 μ-250

下弦側 2010/8/4 μ-250

下弦側の欠けぎわの「赤ちゃんとガイコツ」で、長い影が伸びています。この位相だと赤ちゃんは魚の骨のように見えますね。

2023/8/12 μ-250

このページの画像は「赤ちゃんとガイコツ」が見やすいように、南を上にしています。

この地形については東亜天文学会の例会でも「寝ている赤ちゃんを見守るガイコツ」として取り上げられています。


LROCによる画像。赤ちゃんの下半身は人魚かエビフライ、ガイコツは猿の顔みたいに見えます。

(C)NASA LROC Images