インギラミ谷は月の南西縁にあり、長さが145km、幅が最大約40kmの広くて浅い谷です。オリエンタレ・ベイスンからは放射状に谷やクレーターチェーンが伸びますが、地上からは月の縁になるので位置関係がよく判りません。インギラミ谷もそのような谷のひとつで、すぐ近くにはブヴァール谷やバーデ谷もあります。そこでLTVTを使って処理してみました。
インギラミ谷はLunar100の97番です。
左上隅にオリエンタレ・ベイスン、その中央には東の海が写っています。そこから、それぞれの谷が放射状に位置するのがよく判ります。
下弦側でもこれくらい月が細いと地形の詳細がよく判ります。シッカードは影になっていますが、この辺りからも幅が広くて浅い谷のような地形がオリエンタレ・ベイスンに向けてのびています。
月の縁のLTVT画像は場所によって大きく歪みますが、奥行きがよく判るのでとても新鮮な風景を見ることができますね。
上の画像の1ヵ月前の様子です。欠けぎわにシッカードが見えています。
LROCによる同じ地域の画像です。左上隅にオリエンタレ・ベイスンの多重リング構造が見えています。