めっきり秋らしくなりました。
過ごしやすくなったのは助かりますが、冬のような気流の悪い日が増えて困ります。
そのため 月はFC-76で写してXに投稿するくらいにして、春から夏にかけて溜まっている未処理の画像をのんびり見直したりしています。
気流が悪い日に無理をしても、決して良い画像は得られません。「撮影日記」というタイトルは付けていますが、過去分の画像や気になっていた地形のまとめ等もやっていこうかと思います。


2024/3/15ほか μ-180C + ASI462MM , Another Lunar V

月面Vは月面中央部のウケルト(Ukert)付近から伸びる2本の尾根が太陽光に照らされてV字型に見える現象です。
月面Xと同じ頃に見えることもあり、広く知られるようになりました。

月面V 2014/11/29 μ-250

名所めぐり 月面V 
月面Vはmoon wikiの月面Xのページなどにも「LunarV」として記載されています。

もうひとつの月面V

月面Vとは別に、静かの海北部のヤンセンの近くにも欠けぎわでV字型に見える地形があり、ずっと気になっていました。
これは月面Vのように太くて直線的なものではなく、線のように細くて折れ曲がっていて ヒアデス星団のような形にも見えます。

2024/3/15 μ-180C

この欠けぎわで「V」(あるいはギリシア文字のν)のように見える様子はなかなか面白いと思うのですが、ネット上ではあまり画像などは見かけません。

この地形は静かの海北部のヴィトルヴィウスから南へ延びるバーロー尾根の南部と、ヤンセンから南東に延びる小さな山脈によるものです。

V字の左側(西側)上部は弧を描いていますが、これはヤンセンの周壁の一部が見えています。時間が経過すると、この部分は丸く見えるようになります。

バーロー尾根は「月面ウォッチング」では漠然とした位置しか記載されていませんが、Planetary Namesで見ると下の画像の青い線の地形を指しています。
https://planetarynames.wr.usgs.gov/Feature/1589

Planetary Names より

下は2024/5/13の画像です。このV字が見える頃には 少し北にワニの背中のような鋭い山々が並んでいるのが見えて、なかなか面白い光景です。(長方形内)
これはヴィトルヴィウス山などで、この近くにアポロ17号が着陸しました。

2024/5/13 μ-180C

下は気流が良かった2015/8/5の下弦側の画像です。

2024/5/13 μ-250


この「ヤンセンV」あたりからガードナー・メガドームにかけて、リッジやドーム、ゴーストクレーターなどが集まって欠けぎわでとても賑やかです。
2004/12/5付のLPODでChuck A. Wood氏はこの付近をラモント・ガードナー・メガドーム列(LGMA)と呼んでいます。
http://www2.lpod.org/wiki/December_5,_2004

この「ヤンセンV」付近は起伏に富み、ゴーストクレーターのラモントの北東に当たります。
下の画像にはガードナー・メガドームやコーシー西部のドーム群も写っています。

231103 μ-180C

下の画像はLROCによるヤンセンとV字形付近です。

(C) NASA LROC Images

次回 この地形が見えるのは 2025/11/25の19h00m頃で、下の画像はLTVTによるシミュレーションです。

LTVT 2025/11/25 19h00m