2025/4/4 μ-180C + ASI462MM + IR685 , Larrieu’s Dam , Polybius K
「ラリューのダム」はアルタイの断崖の近くに細い光の筋が見えるという現象で、1955年にフランス、マルセイユのA.C.ラリューによって発見されました。
アルタイの断崖の東にあるポリュビオスKクレーター(直径12.09km)は北西側の周壁が直線状で、クレーター全体がアルファベットの「D」のような形をしています。
光の当たり具合によってこの直線部分が細い光る線に見え、水をせき止めるダムのようだ、というものです。
今回の撮影時刻はラリュー氏の発見時の約4時間後の位相になります。
「ラリューのダム」でまっすぐに光っている場所はLROC QuickMapで見ると長さが14kmくらいあり、ポリュビオスKだけではなく隣にある小クレーターにも続いているようです。
次回、「ラリューのダム」が見られるのは2025/6/2の夕方です。
下の画像は下弦側のラリューのダム付近です。
円内がポリュビオスKで、Dのような形をしているのがよくわかります。
下のリンクは「Journal of the British Astronomical Association」の記事で、ラリューのダムについて詳しく述べられています。
https://adsabs.harvard.edu/full/2008JBAA..118...87L
その中で面白い記述があって、
「ポリュビオスKに似た地形は近くに多数あって、ポリュビオスCとFの境界は直線状の尾根によって形成されている。この尾根はラリューのダムに直角である。」とのことです。
上の画像の楕円内がポリュビオスCとFです。ポリュビオスCとFのペアはパラスとマースチンに似ていて、以前から気になっていた地形です。この直線状の尾根が「ラリューのダム」のように見えないかと思ってLTVTで調べてみました。
上の画像は2025/7/16の04時頃のシミュレーションです。
「ラリューのダム」ほどは細くありませんが、天気が良ければ見てみたいと思います。上弦側では直線状にはならないようです。