2025/2/3 μ-180C + IR685 + 笠井1.5倍バロー

トリチェリは直径23km×30kmのユニークな形をしたクレーターで、しばしば水滴や鳥のくちばしに例えられます。このトリチェリの周壁は尖った側(西側)の先端付近で低くなっており、クリーガーなどと同様に欠けぎわで2本の影を伸ばします。

この日は風が強くて気流は悪かったのですが、トリチェリの影を捉えることができました。

17h49m

約1時間の影の変化は以下の通りです。
もう少し長い時間にわたって見たかったのですが、なにぶん寒さが厳しくて早々に片付けてしまいました。また気候がよくなれば、ゆっくり追いかけてみたいと思います。

17h49m

18h23m

18h47m

このトリチェリの影は2008/4/19のLPODに取り上げられています。
http://the-moon.us/wiki/LPOD_Apr_19,_2008

また1996年11月のSky&Telescope誌にも「Lunar Shadow Play」という記事があり、ヘシオドス・レイとともにトリチェリの影の画像が掲載されています。ここではトリチェリを「自転車のシートの形をしたクレーター」と紹介していて、なるほどと思いました。


下はLROCによるトリチェリの画像です。上方向が西で、先端の周壁が低くなっています。
また手前にも低くなっている場所があり、今回とは逆の下弦側でも短い2本の影が伸びるようです。

(C)NASA LROC Images
(C)NASA LROC Images

下はトリチェリの過去画像です。

2023/8/6 μ-250

今回は日没直後から見ていたのですが、既に影は短くなり始めていました。
次回見ることができるのは2025/4/3の20時頃~で この時刻だとまだ影が長く、その先端が月の欠けている影の部分とつながって見えるようです。
下はLTVTによる20h00mのシミュレーションです。

2025/4/3 20h00m LTVT