2025/1/3 μ-180C , TSA102 , Lunar Doughnut

月面ドーナツは夕方の細い月の欠けぎわに、ドーナツのようなリング状の地形が見えるという現象です。
洋書の「Luna Cognita」には「Lunar Doughnut」が写真を含めて5ページにわたり解説されています。
以前はネットで検索すると海外のスケッチなどが数件ヒットしたように思うのですが、最近は見つからなくなりました。

現在はGoogleで「Lunar Doughnut」と検索すると食べ物のドーナツがたくさん出てきます。
またヘシオドスAやマルトなどの二重クレーターの類もヒットします。
日本語で「月面ドーナツ」だと「月面上のドーナツさえ撮影できる解像度 地球サイズの望遠鏡でブラックホールの撮影に成功」という記事が表示されるようになりました。

細い月の欠けぎわで起こる現象は 月が見えている時間が短い(すぐに沈んでしまう)ので、なかなかチャンスが訪れません。
この日は数少ない機会でしたし、私も今までに実際には見たことがなかった(見えていたはずでしたが気付かなかった場合もあります。)ので楽しみにしていました。

2025/1/3 17h27m TSA102

上の画像はTSA102 + X-S20 で撮影しました。
同望遠鏡(10cm屈折)の眼視でも、周囲より少し暗くてドーナツのような形に見えて面白かったです。
この日は寒くて風が強く、気流はかなり悪かったように思います。また東方向の秤動も良くありませんでした。
今回実際に見て思ったのですが、文字地形やネッシーなどと同様に条件の良い時に拡大すると似ても似つかないような姿になるような気がします。ですから小さめの望遠鏡で気楽に眺めるのがよいのかもしれませんね。

下の画像はμ-180Cで撮影しました。やはり拡大するとドーナツには見えにくくなってきます。

2025/1/3 17h46m μ-180C
2025/1/3 17h48m μ-180C

今回のLTVTによるシミュレーションです。

LTVTによるシミュレーション

過去画像を調べてみたら、一昨年の10月にも写っていました。

2023/10/18 TSA102

月面ドーナツについて(Luna Cognitaより)

位置はlat 33.50°S ,long 45.50°E で、細長いレイタEの西にあります。
「Lunar Doughnut」の名称は非公式のものです。
月面余経度が約316°の時に中央が黒い幅広いリングのように見えます。
中央の黒い穴は地形の西半分の標高が東半分よりも低いため生じています。

月面ドーナツあたりは古くて浅いクレーターのように見えますが、この地形に名前は付いていません。
この付近を拡大した過去画像です。

2023/8/5 μ-250 下弦側

円内が月面ドーナツが見える場所です。
また左側に途中で折れ曲がった谷のような地形が見えますが、これはネアンダー断層です。
直線壁のように上弦側と下弦側で暗く見えたり明るく見えたりする面白い対象です。


今後の予報

次回、見えそうなのは2026/1/22の日没頃です。
前述のとおり、細い月はすぐに沈んでしまうため 好条件で見える機会は少ないようです。
今年(2025年)の4/2や5/31などは昼間に起こるようですが、昼間の細い月は見えにくい上に欠けぎわのドーナツは暗いので、恐らく見るのは困難だと思います。