2024/7/31 μ-180C + IR685

T・マイヤー(トビアス・マイヤー)はカルパチア山脈の西縁にある直径33kmのクレーターです。
T・マイヤーの南西側にはドーム地形が密集していて、欠けぎわに来ると見ごたえがあります。

またきれいなドーム地形のミリキウスπも影が出来て、大変目立っています。(矢印)
ホルテンシウスのドーム群は既に影になってしまっていました。

上弦側での過去画像。

2023/10/24


moon wikiのT・マイヤーを見ていると面白い記述がありました。
以下、翻訳のまま
「日の出(朝の境界線)の間、 T. Mayer Aの縁全体が太陽に照らされ、ある種の驚くべき「リング」効果を生み出します。奇妙なクレア・オブスカー現象(注)です!- 」

T・マイヤーA は T・マイヤーのすぐ東にある直径16kmのクレーターです。
このクレーターが上弦側では暗闇の中にリング状に見えるとのこと、早速過去画像を漁ってみました。

中央の大きなクレーターはコペルニクスで、その上(北)にはカルパチア山脈が広がり、いわゆる月面Nが見えています。
白い円内がT・マイヤーA で、確かに暗闇の中でリング状に見えています。
南にあるホルテンシウスの見え方と比べると違いがよく分かりますね。
よく見ると西側(月の欠けている側)のほうが明るいように感じます。

2024/6/16

どうしてこの様に見えるのか気になったので、LROCのQuickMapで見てみました。

(C)NASA LROC Images


中央の大きなクレーターがT・マイヤーA で、周壁は東側が低くて西側が高いように見えます。
ですから暗闇でも全体がリング状に明るく見えているのでしょう。

(C)NASA LROC Images

(C)NASA LROC Images

今まであまり気にしたことがなかったのですが、こういう見え方をするクレーターもあることを知ったので、また今後の観望でも気を付けてみたいと思います。

なお次回、T・マイヤーA が上の画像のようにリング状に見えるのは2024/8/14の18時頃です。
下はLROCによるシミュレーション画像です。

(注)クレア・オブスカー現象
フランス語で「光」(clair)と「影」(obscur)を意味します。この用語は、ここでは光と影の相互作用によって月の表面上に作り出されるあらゆる効果を意味します。moon wikiより