細い月の先端から離れたところに光点が見えることがあります。
おそらく高い山の頂上に光が当たっているのだと思いますが、いったいどこが光っているのだろう? と疑問に思います。
5月24日は南極側の秤動が良く、月の南端からかなり離れたところに2つの寄り添った光点が見えました。月齢は4.8です。小さな光点が見やすいように縦向き(右が南)にしました。
月の南極付近には多くのピーク(峰)があり、これらは月の裏側にある巨大な南極エイトケン盆地の縁の一部であると考えられています。
1950年代に当時イギリスのグリニッジ天文台にいたイーウェン・ウィテカーにより、これまで名前がなかった南極付近の高いピークにM1からM6の名前が付けられました。(現在ではM7からM17まで追加されました)
なかでもM5(クレメンタイン山)は高度が30000ft(約9000m)もあり、南極付近で最も高い山のひとつだそうです。
月の裏側にあるため普段は見えませんが、この付近の秤動が良い時には隣のM4と並んで月の縁から少し盛り上がったように見えます。
細い月の離れた光点はこのM5あたりが光っているのでは? と思っていました。
それで秤動の状況が近い少し前の満月と、今回の5月24日の細い月の画像を並べてみました。(南が上)
秤動の状況が違いますしピッタリとは合わない感じですが、まあ近い場所のように思えます。(月の見かけの大きさの違いは補正しました)
次に今回撮影した画像と、その日のVirtual Moon Atlasによるシミュレーション画像を重ねてみました。
丸印が写っていた光点で、これはVirtual Moon Atlasでは表示されていませんでした。
光点はカベウスのちょうど向こう側あたりで、月の縁から僅かに上です。
周りの地形と見比べてもM5の位置とほぼ一致するようですし、他に高い山もないのでM5なのかなぁ、と思います。
下の画像は月の南極付近です。Virtual Moon Atlasの画像にM4とM5を追記しました。
過去に撮影したこの付近の画像です。
M4、M5の手前にも別のピークであるM1やM3があります。秤動の状況によってはこれらのピークが暗闇に光る場合もあるかもしれません。
実際に南側の秤動があまり良くない(M4やM5が見えない)ときにも離れた場所に光点が見えることがあります。
こういった事も機会があれば探ってみたいと思います。
M1~M17の位置は2007/1/6付のLPOD等で見ることができます。
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