縁の海のスウォール Mare Marginis swirls 

縁の海(ふちのうみ)は月の東端付近に見える複雑な形をした海です。この縁の海付近に白っぽくうねる渦巻きのような模様が多数見られますが、これがスウォール(swirl : 渦巻き)です。秤動の条件が良いときには下の画像の矢印付近のスウォールがよく見えます。

大規模なスウォールはこの「縁の海」と「ライナーγ」、月の裏側の「賢者の海」にあり、いずれも強い磁気異常を伴います。何とも不思議な形をしていますが、どのようにしてできたかはまだよく分かっていないようです。

「縁の海のスウォール」はLunar100の一番最後、100番目です。

2015.2.24
2015.2.23

Goddar C付近のスウォール 2015.2.24
2014.1.6
2014.1.6

月探査機による縁の海の画像

右下にある大きなクレーターがGoddardで、その左の周壁が一部途切れている丸いクレーターがGoddard Cです。このGoddard Cの左あたりが地球上から見やすい位置のスウォールで、今回撮影したのもこのあたりです。

NASAの月探査機LROによる縁の海 (C)NASA LRO Images

その他のスウォール

月面には大きなスウォールが三か所あります。この縁の海のスウォールと嵐の大洋にあるライナーγ、月の裏側の賢者の海です。

ライナーγは彗星の衝突によってできたと考えられていたようで、私も何度もそのような記述を読んだ記憶があります。しかし「月の地形ウオッチングガイド」によると、「近年、彗星が月面に衝突することはまれな現象ではないことがわかってきたので、彗星衝突ではスウォールが月面の数ヵ所にしかないことを説明できない」とのことです。

ライナーγ

「かぐや」HDTVによる賢者の海の画像です。とても見事なスウォールですが、月の裏側にあるため地球からは見えないのが残念です。

「賢者の海」のスウォール

「かぐや」HDTVの画像 (C)宇宙航空研究開発機構(JAXA)

「かぐや」HDTVによる 賢者の海 (C)宇宙航空研究開発機構(JAXA)