雨の海の溶岩流 Imbrium Lava Flows

雨の海西部には広い範囲に溶岩流があり、地上から望遠鏡で捉えることができます。
「月の地形観察ガイド」によると噴出口はオイラー付近で平均厚さは35m、全長は600kmに及ぶとのことです。特にカリーニとマクドナルドのあいあだからル・ヴェリエA付近に続く川のような溶岩流は見事です。ただしこの地域が欠けぎわギリギリに来ること、および気流が十分に安定していないと見ることはできません。
ここに掲載した画像はすべてμ250(口径25cm)で撮影し、かなり強めの画像処理をしています。ですから実際には画像よりももっと微妙な見え方ですが、条件が非常に良い日には10cm屈折で川の流れのような部分をはっきり見ることができました。
雨の海の溶岩流はLunar100の98番です。

雨の海の溶岩流 (Imbrium Lava Flows)
2015.3.29 20h46m

溶岩流のおおまかな位置と形状は次の通りです。
オイラー~ディオファントス付近から始まり、ハイス~ラ・ハイヤー山付近までは様々な方向に広がり、複数の流れが見られます。それからツィルケル尾根を横切り、カリーニ~マクドナルド付近で目立つふたつの舌状の膨らみがあり、その先は川の流れのようにカリーニD~ヘリコンBを通りル・ヴェリエA付近で終わります。
溶岩流の目立つ輪郭は以上ようなものだと思いますが、微妙な海の明暗やリッジとの区別など詳細はよくわかりません。様々な位相での撮影が必要だと思われます。

雨の海の溶岩流 (Imbrium Lava Flows)
2017.5.6  21h33m

雨の海の溶岩流 (Imbrium Lava Flows)
2013.3.20

全体を一枚の画像で写すことができればよいのですが、欠け際から少しでも離れると途端にわからなくなってしまいます。ですから欠けぎわが異なる複数の画像で捉えるしかありません。

雨の海の溶岩流 (Imbrium Lava Flows)
2013.3.20
雨の海の溶岩流 (Imbrium Lava Flows)
2015.3.29 19h26m
雨の海の溶岩流 (Imbrium Lava Flows)
2015.3.30 21h09m
雨の海の溶岩流 (Imbrium Lava Flows)
2015.3.30 22h47m
雨の海の溶岩流 (Imbrium Lava Flows)
2018.3.26 18h51m

アポロ15号が撮影した画像との比較
黄色の線で囲んだあたりがアポロ15号の画像に写っている地域になります。

雨の海の溶岩流 (Imbrium Lava Flows)
雨の海の溶岩流 (Imbrium Lava Flows)
ⓒ NASA Apollo15 Image

雨の海の溶岩流 (Imbrium Lava Flows)

黄色の線で囲んだ部分(舌状の2つの膨らみ)が下のアポロ15号の画像の中央付近に見えています。

雨の海の溶岩流 (Imbrium Lava Flows)
ⓒ NASA Apollo15 Image