ヘシオドス・レイ Hesiodus Sunrise Ray
雲の海の南縁にはピタトスとヘシオドスが並んでいます。
ピタトスは直径97kmでクレーター底に多くの細い谷が見られます。またヘシオドスは直径43kmで、二重クレーターのヘシオドスAが有名です。
この2つのクレーターの境界には隙間があり、この隙間を通った太陽光線がヘシオドスのクレーター底に細い光を落とすことがあります。これがヘシオドス・レイです。
ヘシオドス・レイはヘシオドスが夜明けを迎える頃(月齢8頃)に起こります。
Sky&Telescopeの「Pleasures of Lunar Pareidolia」には、「日の出の光線がクレーターの壁の裂け目を通過し、開いたドアから暗い部屋に光が差し込むように、影の底を扇状に広がります。」と書かれています。素晴らしい表現ですね。
下の画像は偶然写っていたヘシオドス・レイですが、蟹のハサミのように影が面白く見えています。かなり時間が過ぎている状況だと思われますが、機会があればゆっくりと見てみたいものです。
LTVTのシミュレーションによると、ロビンソン氏の予報の4時間後くらいに下の画像のような影になります。

ヘシオドス・レイとほぼ同じタイミングで「フラマウロの真珠のネックレス」も見ることができます。
下の画像で上(北)の円内がフラマウロの真珠のネックレス、下(南)の円内がヘシオドス・レイです。

ヘシオドス・レイは2010/3/27のAPODで紹介されています。
https://apod.nasa.gov/apod/ap100327.html
1996年7月号のSky&Telescope誌に3ページにわたりヘシオドス・レイが紹介されており、Philip Koch氏による1988/3/26のスケッチが掲載されています。
ロビンソン氏のサイトにはヘシオドス・レイを始め多くのRay現象の解説、予報が掲載されています。
http://www.lunar-occultations.com/rlo/rays/rays.htm