月の傾き

夜空は天の北極(北極星のある方向)と天の南極(日本からは地平線の下になるので見えません)を結ぶ線を中心に一日かけてひと回りします。これは地球の自転によるもので日周運動と呼ばれます。このために月や星は東から昇って西へと沈みます。


下の図は上弦の月の動きを表しています。南の空では月は直立していますが東の空から昇るとき、西の空に沈むときにはそれぞれ月は大きく傾いています。

よく「月が変な向きに見える」というご質問を頂くのですが、お話を聞いていみると次の図のように月が動くと勘違いされています。そのために西や東の空で傾いた月を見ると、とても変に感じられるようです。


上弦の場合と同様に、下弦の月も下の図のように傾きが変化します。

月が大きく欠けている場合は傾きの変化を感じやすいのですが、満月でも同様に月の傾きは変化しています。満月は丸いのでなかなか気付きませんが、よく見るとウサギの模様が回転しているのがわかります。

月ばかりでなく星座でも同様です。たとえばオリオン座はギリシャ神話に登場する勇者で、南の空では力強く直立して見えます。しかし東の空から昇るときには仰向けに寝そべっていますし、西の空に沈むときには前のめりに傾きます。

このように月や星座の傾きが変化して見えるのは、夜空全体が地球の自転による日周運動により回転しているためです。


(注意) 実際の月の見え方は緯度や季節、時刻などによって変化しますので、掲載している画像は一例としてご覧ください。